祓の舞で、奉仕者は舞人以外の伶人また神職で奏楽に合せ竹の筒から切麻を振って祓います。
十二段舞楽
一三〇〇余年の伝統の舞楽
小國神社の古式十二段舞楽は、国の安寧と遠江国(現在の遠州地方)の発展を願い、大神様への真心(まごころ)をもって奉納することを本義としています。
毎年4月18日に近い土曜日、日曜日にほぼ1日かけて奉奏しています。
この日付は、欽明天皇の御代16年(555年)春十八日に本宮山(現在は小國神社の奥宮、奥磐戸神社が鎮まっています)にご神霊が出現したと伝わる当社の創建に深く関わっています。
大宝元年(701年)2月18日には、勅使(天皇の使者)が当地へ出向き、現在の社地に里宮を開き、十二段の舞を奉納したことが舞楽の始まりと伝承されています。
江戸時代には鈴木左近家が代々指南役を継承していましたが、現在は「遠江国一宮小國神社古式舞楽保存会」として組織され、指南役や師匠を中心として小國神社氏子青年会の協力のもと一体となり保存伝承に努めています。
昭和57年1月23日文化庁より「重要無形民俗文化財」に指定され、平成15年9月14日には、秋篠宮文仁親王同妃紀子殿下が御親拝の折、当社の古式十二段舞楽をご覧遊ばされました。
奉納演目
当地では、古くは舞楽(ぶがく)とは言わず、舞物(まいもの)と呼び親しんできました。12段のうち6段を舞い子に選ばれた子供が舞います。舞い子は「稚児舞(ちごまい)」と太平楽の「太刀(たち)」とに区別されます。
稚児舞の連舞(れんぶ)・蝶の舞・鳥の舞・神まっく(しんまっく)・抜頭(ばとう)と習得して、太刀の太平楽でご奉仕の務めを終えます。
舞い子には序列があって、舞台前列の右から稚児(太刀)の1・2、後列の右から稚児(太刀)の3・4となり、年齢の低い者が4に、そして順に1まで上がります。
この他の色香・安摩(あま)・二の舞・陵王(りょうおう)・納蘇利(なっそり)・獅子(しし)は大人(16歳以上)が舞う大舞(ふとまい)です。その多くが舞い子として奉仕を経験した子供たちが大舞を継承します。
江戸時代、大舞は神社周辺の氏子が舞っていましたが、色香舞だけは神職の役とされていました。
舞楽の今
当社の舞楽では、多くの演目を稚児である子供たちが舞い、奉納しています。
この子供たちは、奉納日から数えて3週間前から稽古し、1週間前には神社内の施設に合宿をします。子供たちは、ただ舞楽を習うのではなく、稽古や集団生活を通して様々な体験をし、一回りも二回りも精神的に成長し親元へ帰ります。
舞の指導を行う小國神社古式舞楽保存会の会員は、子供や若者たちに舞楽の「技と心」を教えることで、舞楽の「伝統」と「精神」を次世代へとつなげようとしています。
幽玄の伝統に込められた意味
舞楽を伝承することは、「地域の文化」を護り伝えることです。そして、地域の文化を護り伝えることは「日本文化」全体の継承に大きな貢献を果しています。古式十二段舞楽 ~未来へ~
当社の舞楽は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。一方で、国内には多くの立派な「有形」の文化財も多くあります。
「有形」の文化財は自然災害などでいとも簡単に崩れ去ってしまうことがしばしばありますが、「無形」のものはそうではありません。人々が神々を敬う心を持ちながら、「技の伝承」、「心の伝承」により長い月日を経て受け継がれてきた神事祭礼文化は、その真心(まごころ)を失わない限り、何度でも蘇ることができます。それが「無形」の精神文化の伝承であり、日本の誇るべき伝統です。
当社が鎮座する森町には、当社の古式十二段舞楽を含めて国指定重要無形民俗文化財に指定を受けた舞楽(天宮神社十二段舞楽・山名神社天王祭舞楽)が三つも現存しています。当地にこれだけの伝統芸能が今も継承されているのは、ご奉仕を続けている地域の人々が常に神々を敬う心をもって奉納されてきた証です。
今後とも地域の皆さま、伝統文化の継承について深いご理解とご協力を頂いている皆さま、そして神社の不断の努力によってこの伝統を護り伝えていかなくてはなりません。
会員を募集しています
遠江国一宮小國神社「古式十二段舞楽保存会」会員募集
主な事業
- 1.例祭舞楽奉奏に関する一連の行事への参加協力に関すること
- 2.保存会の目的に相応した奉納舞楽及び関連事業への参加に関すること
- 3.伝承者の育成及び伝統舞楽の研究に関すること
- 4.地域の青少年育成に関すること
- 5.師匠会及び賛助会に関すること
- 6.その他保存会の目的達成上必要と認められること
保存会年会費
年間 | 1,000円 |
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遠江国一宮小國神社「古式十二段舞楽賛助会」会員募集
賛助会年会費
個人会員 | 30,000円 |
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法人会員 | 10,000円 |
お問合せ
詳しい内容やご入会・お問い合わせ
遠江国一宮小國神社古式舞楽保存会事務局 TEL/0538-89-7302
番外/花の舞(はなのまい)
一番/連舞(えんぶ)
舞楽の始めに行う舞で「神に供へる又は押し鎮める」の意があります。 舞人は稚子2人で緋袍に天冠を冠り鉾をとって舞います。
二番/色香(しきこう)
大人2人で典雅な白色の面に裂布の垂れた独特の上衣に紫の袴をつけ背に円板をつけ、桴を手に曲に合わせて動きも大きくゆるやかに舞います。
三番/蝶の舞(ちょうのまい)
舞人は稚子4人で布衣をつけ天冠を冠り胡蝶の花に遊ぶさまをして舞います。 当神社の舞楽古伝書に依れば庭小鳥とあります。
四番/鳥の舞(とりのまい)
蝶の舞と同じく稚子4人で、鳥の飛び遊ぶ姿をして舞います。 装束も蝶の舞と同じですが、舞の手が異なっています。
五番/太平楽(たいへいらく)
乱世を正すというめでたい舞です。俗に”太刀舞”と言い子供4人鳥兜に裲襠装束で鉾を持ち勇壮華麗に舞います。「太刀の一人舞」は独特の舞手です。
六番/新まっく(しんまっく)
当神社では古くは「神麻久」と言い、舞人は子供4人で樺色の布衣を着けて笏を持って舞います。
七番/安摩(あま)
紙の仮面に巻纓の冠を被り青色の狩衣に笏を持って舞います。楽器は太鼓と鉦鼓で、唱歌により拍子をとって舞います。本来二人舞であるが当神社では一人舞です。
八番/二の舞(にのまい)
安摩の答舞で次いで舞います。番舞(つがいまい)で安摩を真似得ない姿を舞うと言う翁媼のいわゆる戯舞で見るものを思わずほほえませます。
九番/陵王(りょうおう)
竜頭を頂いた鼻のとがった目の鋭い恐ろしい面をつけ一尺余の桴を持って舞います。 装束は赤色かかった裲襠を用いて舞は走舞で鮮やかなものです。
十番/抜頭(ばとう)
稚子の”一人舞”と言い子供1人天冠をつけ白地に刺繍の装束で舞います。
2日目には「座頭の坊」と称する子供と大人の争うさまを舞います。
十一番/納蘇利(なっそり)
裲襠装束で恐ろしい紺青色の面をつけ桴を持って舞います。
走舞で動作は元気があって面白く竜の舞跳る趣があり活発な中にも荘重の感が深い舞です。
十二番/獅子(しし)
俗に”獅子伏せ”と言い大人3人で舞います。悪魔払いとも五穀豊穣の祈りとも伝えられ、祝儀舞です。
舞曲共に勇壮かつ華やかに舞います。