風化が進む社殿のお屋根
半世紀近く、永く美しい意匠を保つ丈夫な檜皮葺ですが、永い年月に亘って雨風に晒された屋根には、損傷や経年劣化、植物の侵食などが確認できます。
修復前のお屋根
半世紀近く、永く美しい意匠を保つ丈夫な檜皮葺ですが、永い年月に亘って雨風に晒された屋根には、損傷や経年劣化、植物の侵食などが確認できます。
修復前のお屋根
ご祭神「大己貴命」をお祀りする社殿です。
明治15年の大火にて焼失しましたが、明治19年再建されました。この際、島根県の出雲大社より本殿図面を拝借し、間口3間1尺5寸、高さ4丈3尺(出雲大社御本殿の約2分の1のスケール)で再建した、大変珍しい大社造りの社殿となっています。屋根の工法は、ヒノキの皮で葺く「檜皮葺」で、我が国独自の伝統様式を今に伝えています。
工期/令和 3年 2月12日 ~ 10月30日
大社造(たいしゃづくり)は伊勢の神宮の神明造(しんめいづくり)と並び神社建築の二大源流です。
弥生時代の遺跡の柱の遺構が大社造の柱の配置に似ていることから、高床式住居から発展し、祭祀の場に使われていた住居性を備えた宮殿が社殿となったと考えられています。
高床式構造の社殿には、高床式構造の社殿の中央には心御柱(しんのみはしら)あるいは、心の太柱(しんのふとはしら)と呼ばれる太い柱が立てられています。柱は正面と東西側面ともに3本あり、部屋の形は田の字形の正方形となるのが特徴です。
正面と背面の中央には、棟木まで伸びる宇豆柱(うずばしら)が立ち、戸口を中央に作れないため、中央の東側に御扉(みとびら)、木階(きざはし)(階段)、階隠(はしかくし)(階段上の傾斜した屋根)を設けています。
屋根を支える側面の破風(はふ)は、懸魚(げぎょ)で修飾され優美な曲線を描いています。
これは大陸文化の影響で、後世に変化したものとされています。
屋根の勾配をきつくして雨や雪が流れ落ちやすくし、切妻のため軒の出も大きく作られています。そして、大きく立派な、千木(ちぎ)と鰹木(かつおぎ)が屋根上に据えられています。
長年の風雨や植物などの浸食により、一部が剥がれ落ちたり、特に社殿西側には周囲のスギやヒノキから種子が落ち発芽した実生苗が多数確認でき、速やかな施行が必要です。
「伊邪那美命・事解男命・速玉男命」をお祀りする社殿です。
明治15年炎上前までは玉垣内に鎮座していましたが、社殿炎上後は境内社八王子社において祀られてきました。明治100年を記念し、昭和43年旧社地に大鳥居造(おおとりいつくり)の社殿復興造営となりました。古より、ご本社に並ぶ社として、本社に準じて神事がおこなわれます。
工期/令和 4年 2月12日 ~ 5月30日
大鳥居造は、大社造の特徴のひとつである住居性が薄らぎ、初めて神殿としての形式を具備した社殿の形と考えられています。
本殿の内部には、中央の柱はなく内陣(ないじん)と外陣(げじん)を間仕切りし、正面中央に御扉(みとびら)を取る形が特徴です。このように、より神殿としての機能性を求めた構造となっています。
一般的には神社建築は、大社造(住居性が色濃く残る)→大鳥居造(神殿としての機能性が備わり始める)→住吉造(すみよしつくり)→春日造(かすがつくり)と変遷し、さらに細分化されていったと考えられています。いずれも神社建築の重要な様式を留めているものといえます。
総檜皮葺きの屋根は切妻造の妻入でご本殿と比べると小型ながらも美しく整った荘厳な社殿です。
長年の風雨による浸食と鳥によりついばまれたと考えられる傷跡が多数あり、とくに東側の屋根に実生のスギやヒノキの苗が確認できます。
現在では、幣殿と中門は、内部と屋根が一体化していますが、以前は別々の建物です。
工期/令和 5年 2月12日 ~ 10月30日
毎日の神饌(神さまへのお供え物)などはこの幣殿中門前に供えられます。また、通常の祝詞座(祝詞を奏上する場所)もこちらの殿内に設えます。
長年の風雨による浸食と鳥により、ついばまれた箇所が目立ちます。また、中門北側にはスギ、ヒノキの実生苗が多数根を生やしはじめています。
恒例の祭典、結婚式、ご祈祷などを執り行います。明治19年に再建され、間口5間3尺7寸、梁間3間1尺5寸で入母屋造の社殿建築です。
工期/令和 4年 4月20日 ~ 12月10日
直線の参道を抜け、二の鳥居をくぐると荘厳な佇まいの拝殿が一番始めに目にはいります。社殿の構造上、正面からは御本殿は目視が難しいため、多くの参拝者が一番始めに目にする拝殿が小國神社の印象として定着しています。
屋根は優美な曲線を描き、優雅さと荘厳さを兼ね備えた正面の唐破風(からはふ)の屋根が最大の特徴です。破風板の下に飾られた火除けの祈りが込められた懸魚(げぎょ)や蛙股(かえるまた)の彫刻にも注目して下さい。
長年の風雨による浸食と鳥により、ついばまれた箇所や、直射日光による屋根の劣化も目立ちます。
主に拝殿にて祭典行事が執り行われているときは、ここで祈祷を行います。
工期/令和 2年 2月12日 ~ 10月20日
主に祈祷を執り行う祈祷殿として日々多くの参拝者が昇殿します。総檜皮葺の屋根を有する入母屋造妻入りの社殿建築です。昭和51年に新築、参拝者の増加に伴い、平成26年に改築工事を実施し、より多くの祈祷者の受け入れが可能となりました。
長年の風雨による浸食と鳥により、ついばまれた箇所や、直射日光による屋根の劣化も目立ちます。特に社殿東側は軒の部分の劣化は激しく、剥がれ落ちている箇所も見受けられます。
御垣内(みかきうち)にある真名井より汲んだご神水は神様にお供えします。また、当社の特殊神饌の古式神酒(どぶろく)の酒造にもつかわれます。
工期/令和 2年 1月14日 ~ 3月31日
長年の風雨による浸食と鳥により、ついばまれた箇所や、直射日光による屋根の劣化も目立ちます。また、明治19年の設置以来、葺き替えが行われず、修繕のみで、現在に至ります。本来は檜皮で隠れている「水切り銅板」が所々で見えてしまっています。
拝殿と神徳殿をつなぐ回廊です。
工期/令和 2年 2月12日 ~ 10月20日
写真の通り、拝殿の軒下にかかる部分と雨晒しになる部分とでは浸食の進み具合が違うことが良くわかります。こちらは昭和62年の施行以来、大規模な修繕は行われておりません。