ご先祖様のお祀り
私たちの祖先は、いにしえより自然や神様をお祀りし、祖先を祖霊神としてお祀りしてきました。
ご先祖様と私たち
私たちの祖先は、いにしえより自然や神様をお祀りすると共に、祖先を祖霊神としてお祀りしてきました。死後、人はやがて祖霊となり、さらには祖霊神へとして、この世の子孫の生活を見守っていて下さると考えてきました。
皆さんのお住まいの近くに、ハヤマ(葉山・羽山・麓山・端山・早山等)とよばれている地名や小高い山・丘があるかもしれません。
古来より、私たち日本人の「御霊」に対する考え方は、人は死後、はるか彼方へと旅立つのではなく、生前に家族と一緒に暮らしていた家を望むことのできる場所、小高い山に隠れられると考えられてきました。また、始めは山頂ではなく、麓に近い峰の端、つまり「端っこの山」=「端山」に鎮まり、歳月とともに次第に高い山に遷っていくと考えてきました。
祖霊は、子孫の行う「祭り」(冠婚葬祭のうちの「祭」で先祖祭りの意味します。)を受けることにより、歳月とともに浄化され、子孫を守り、家を守る「氏神」として、またその土地・地域をお守り下さる「産土の神」として私たちの生活を見守ってくださいます。
ご先祖様のお祀り
家庭での先祖まつりは、神棚とは別に御霊舎で行います。ご先祖様の霊が鎮まる御霊代を納めるところで、仏式の仏壇に相当します。
御霊代には、一般的に霊璽が用いられます。霊璽は仏式の位牌に相当します。蓋がついていますが、通常は蓋をしたままお祀りし、命日や年祭など特別な日には外すこともあります。
祖霊祭(年祭)とは、亡くなってから1年、3年、5年、10年、以降10年ごとに行うのが一般的です。普通は50年(地方によっては30年)で「まつりあげ」となり、故人の御霊は神様として私たちを見守ってくださいます。年祭の日には、親戚や故人と親しかった人を呼び、神職にお祀りをしてもらいます。
御霊舎のお話
御霊舎は、神だなとは別のところに設けるようにしますが、家の間取りの都合で、神だなの下や隣に設けることもあります。神だなの下に設ける場合には、御霊舎は上半身の高さに設けます。
神だなの隣に設ける場合には、御霊舎の高さを少し低くするか、それができない場合には、神だなに向かって左に設けるのがよいとされています。
お供え物は神だなのおまつりと同様です。お参りも、神だなにお参りした後に同じ方法でお参りします。
御霊舎に必要な祭器具は、神具店で求めることができます。御霊舎を設ける場合には、お祓いを受けてから設置するのが望ましいです。
春分・秋分の日
~ 一宮祖霊社春季祭・一宮祖霊社秋季祭 ~
春分・秋分の日は、いずれも国民の祝日で、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」、「秋分の日」は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」とされていますが、かつては「春季皇霊祭」・「秋季皇霊祭」という祭日です。
今でも、宮中では春季皇霊祭・秋季皇霊祭が行われ、神武天皇を始め歴代天皇・皇族の御霊が丁寧にお祀りされます。
春分・秋分の日は、天文学的には太陽が黄経度(春分点)、180度(秋分点)を通過する日で太陽が真東から昇り、真西に沈むことから、ご先祖様との交流に相応しい日と考えられて来ました。
一宮祖霊社では、春分の日、秋分の日にそれぞれ春季祭・秋季祭を執り行い、一宮祖霊社奉斎会会員の皆様にご参列案内を送らせていただきます。
「お彼岸」と「お盆」
― お彼岸 ―
「暑さ寒さも彼岸まで」のと言われるように、
彼岸は季節の変わり目であると同時に、ご先祖様をお祀りする大切な行事です。
彼岸は、春分の日(3月21日頃)と秋分の日(9月23日頃)をはさんだ前後の3日間ずつ、計7日間のことで、それぞれ春彼岸、秋彼岸と言い、彼岸の最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸の明け」、春分・秋分の日を「彼岸の中日」と言います。
彼岸には、お墓参りをする習慣があります。祖先の霊を家に迎える盆とは違って、「ご先祖様に会いにゆく行事」としての意味合いが強いとされています。
彼岸は、日本にしかない行事です。彼岸には、「おはぎ」や「ぼたもち」を供え、お下がりとしていただきます。「おはぎ(御萩)」は萩の餅の略称、「ぼたもち」は牡丹餅で、いずれも同じものですが、春の牡丹、秋の萩と季節の花にたとえて呼ぶところに、日本人らしい感性がうかがわれます。
― お盆 ―
お盆は、旧暦7月15日を中心に行われる祖先をまつる行事で、
7月13日夕方の迎え火に始まり、7月16日の送り火に終わります。
一般に盆とは、盂蘭盆の略とされ、盂蘭盆にはサンスクリット語で『倒懸になっている様を救う』という意味があるとされています。
あの世で非常な苦しみを受けている死者を供養し、救う仏教行事ですが、もともとは神道の考え方に基づく祖霊信仰による行事で、日本に古くからあった祖霊信仰が仏教行事の盂蘭盆会と集合したものです。
関東地方では7月15日に行われることが多いようですが、関西など、西日本では月遅れの8月15日に行うところが多く、「おがら」と呼ばれる麻の茎や麦藁、松の割り木などを焼く迎え火・送り火の風習は、江戸時代に盛んになったと言われています。また、盆踊りは、本来、ご先祖様を慰め送り出すためのもので、有名な阿波踊りも盆踊りの一つです。
正月や盆など祖先の霊は幾度も子孫のもとを訪れます。正月棚や盆棚ぼんだな(先祖棚)はご先祖様を迎える場所で、神だなや御霊舎の原型とも考えられています。