玉垂70号
発行:令和六年十二月二十五日
年の瀬を迎えて
間もなく暮れる令和六年は、一月一日に発生した能登半島地震の大きな衝撃から始まり、記録的な暑さの更新や豪雨などの大規模自然災害が多発した一年でした。幸い、当社におきましては、恙無く一年を過ごすことができました。これも偏に、小國大神様のご加護によるものと誠に有難く存じます。現代社会において、人間の行為が基本となる「社会現象」は、同じ人間として規則性を見いだすことが可能です。一方で、「自然現象」はそのように簡単にはいきません。自然の一部でもある人間は、驕ることなく自然と実直に対峙し、不測の事態に備えていかなければならないと強く感じるとともに、我が国の「神祭り」の原点の一つ、「自然と共生する姿勢」から学び得ることは、全世界共通の財産であると確合しております。
一方で、本年は、三月の臺灣と我が国の友好の象徴「昭和天皇ゆかりの桜」植櫢奉告祭に始まり、十月にはタイ王国チョンブリ県シラチャに御鎮座となった、小國神社史上初の海外分祠シラチャ小国神社鎮座報告祭など、外つ国との交流も益々盛んになりましたことは、大変喜ばしい出来事でありました。今後、在日・訪日外国人の皆様に向けて当社を正しく理解していただくことはもちろんのこと、「神社神道」の奥深さや地域に連綿とある「信仰の美しさ」、我が国の礎をなす「神道文化」の魅力をお伝えし、諸外国とのさらなる相互理解・友好親善にも寄与して参ります。
ところで、南米パラグアイで開催された国連教育機関(ユネスコ)では、十二月四日に日本酒などの「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録されたことは記憶に新しいことと存じます。
当社においては、「古式神酒」いわゆる「どぶろく」を調製し、現在でも祭典の神饌(神様のお食事)としてお供えしています。当社所有の延宝八年(一六八〇)の「遠州周智郡一宮記録」にも「御酒瓶子二人備之」とあることからも、当時からお供えされていたことがえ、神様を敬う心をもって今日まで酒造りが継承されています。
登録会議は、全会一致で決議され、酒が「日本の祭りや結婚式に不可分である」ことも指摘、さらには、日本政府代表の加納雄大大使は、「我が国では酒は神々からの贈りものとされている。」とスピーチされていました。この度の登録を受け、我が国の主食であり、国家のアイデンティティーの一つでもある「日本の稲作」についても広く国際理解が進むことを期待しています。
さて、来る令和七年は大東亜戦争終結八十年の節目の年となります。我が国においては、戦後生まれの人口が九割を占めると言われるなか、来年は次世代への継承という点において、特別な意味を持つ年と言えます。今を生きる私たちは、「我が国の未来」の為に尊い命を捧げた英霊に感謝の誠を捧げることは申すまでもなく、先人たちの「魂」と「志」を受け継ぎ、国民一人一人がそれぞれの立場で「令和の国作り」へ邁進する覚悟を決める大切な節目であると存じます。
職員一同、ご巴の年を迎えるにあたり、御皇室のご安泰と国の隆昌と世界の平和を祈る祭祀の厳修に努めて参りたく存じます。氏子崇敬者各位のご壮健をお祈り申し上げます。
令和六年十二月十五日