玉垂35号
発行:平成24年6月1日
初夏を迎えて
当社の春は花で満ち溢れ、特に日本人が好きな桜は、河津桜、染
井吉野、枝垂れ桜、八重桜等が順次境内でお楽しみ戴いておりま
す。境内に枝垂れ桜は約三十本ありますが、近年成長が著しく順調
なのが記念館北側にある「滝桜」の子孫樹です。滝桜と言えばご存
じの福島県・三春の紅枝垂れ桜です。樹齢推定千年を越えていると
いわれ、四方に広げた枝から薄紅の花が流れ落ちる滝のように咲き
匂う国の天然記念物です。昭和六十年頃に三春町の伝統ある種苗農
家の柳沼ハナさんから譲り受けて植樹したものです。当時は三年間
で三十本程植えましたが、現在はその内の七本が無事に育っております。一方、昨年の暮れに門前に奉納された枝垂れ桜も新芽が芽吹
きました。専門家によると四〜五年程で、かなり観賞できる花芽を
持つとのことで今から楽しみです。将来は信州伊那谷にある舞台桜
や安富桜のように呼称で呼ばれ、歴史に語られるような名物一本桜
となって頂きたいものです。
さて、四月十四日(土)午後三時、晴れて新東名が開通となりま
した。実施計画が発表されて以来、関係者にとっては様々な厳しい
ハードルを乗り越えての竣功であったことと存じます。顧みますと、
当社の氏子地区では家屋等の移転をされた方が多数ありましたし、
農地、茶園等が収用された方もおられました。開通した現在、当社
に近い森町PAから周囲を望むと今までにない町の景観があり、や
はりすごい構造物が出来たと実感します。道は人や物を運んできま
すが、情報、文化等をも運びます。さらにこの機会に、当社への表
参道では「明神通り振興会」が結成され、早速活発な活動を展開し
ています。旧来型の組織とは違い、前例に縛られない独創性を保ち、
参拝者の立場に立ったきめ細やかな事業を期待しております。
四月上旬までは肌寒い気候でしたが、五月に入り気温が急速に上
がってまいりました。開園五十二年目を迎える花菖蒲園では、開花
が格段と進んでおります。水無月晦日には夏越の大祓を斎行いたし
ますので、是非皆様方のご参拝をお待ちいたしております。