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玉垂23号

発行:平成20年7月1日

向暑の折から

 水無月は一日に宮代神饌田の「御田植祭」を斎行いたしました。昨年同 様に森町教育委員会及び地元の森町立旭が丘中学校のご指導ご協力を戴き、 大勢の生徒達にお田植えの奉仕またお囃子の奉納演奏をしていただきまし た。初夏の蒸し暑い気候の中、一生懸命のご奉仕に心より感謝いたします。
地方でさえも田植えを体験したことのある子供が少なくなってきている現 状ですが、稲作文化に触れながら、さらに環境問題・食の問題へと視点が広がることを期待しております。また、晦日には「夏越の大祓式」を斎行 いたしました。「茅の輪くぐり」は参列した方々と一緒に神事を行います が、このような参加型の神事が将来的にはもっと増えると良いと思います。
 さて「御鎮座一四五〇年記念事業」の最終事業であります「斎館並びに 参拝者休憩所」の建設ですが、予定地になっております旧社務所の解体工 事が六月初旬には終了いたしました。現在は先ず初めに倉庫の建設を実施 しております。解体前は参道から宮川の風景は見えませんでしたが、今は 新緑が望めます。新しい斎館が出来るまでの期間限定の景色です。どうぞ お楽しみください。また、旧社務所前にありました参拝者休憩所も同時期 に解体し、氏子地区の八雲神社に移され御本殿の覆屋として建築されます。
このように神社建物の材料を再利用することはよくあることで、伊勢神宮 では御遷宮の度に実施されています。
 ところで、参集殿の裏手には二本の木が絡み合っているような形をして いる通称「ひょうのき」があります。平成十六年に森町の天然記念物に登 録された樹木です。学名「梼」(いす)で、マンサク科に属し暖地の山中 に自生する常緑樹です。最近、この木にお参りされる方々がたびたび見う けられます。特に若い女性の方が多いいようです。このひょうの木は当社 の縁結びの御神木として長い間信仰され親しまれてきました。葉にイチジ ク状の穴のあいた虫こぶができ、風が吹くと「ヒョウ」と音がして、男神 が女神を呼ぶ際の笛として使われたとも伝われています。作家・白洲正子 氏著の平凡社文庫『木﹇なまえ・かたち・たくみ﹈』の一説を読まれて参 拝に来られた方もいるようです。縁結びは男女の間のことだけではありま せん。神と人、人と人、人と仕事等様々であります。皆様方におかれまし ては、向暑の折ご自愛下さいまして、お健やかに暮らされますことを切に お祈り申し上げます。