玉垂42号
発行:平成26年12月20日
年の瀬を迎えて
本年十月五日、高円宮典子女王殿下と出雲大社権宮司千家国麿様とのご成婚の慶事に国内は暖かな奉祝の空気に包まれました。また、本県各地におきましても、お二人の雅やかなお姿に感嘆の声が上がりました。千家国麿様におかれましては本年の当社例祭にご参列戴き、出雲大社と当社の関係についてのご挨拶を賜りました。お二人のご結婚は、歴史的にも意義深く、皇室と出雲国造家の太古からの時を経てのご神縁には、日本の国柄の基であります神話の世界が今
に継承されていることを実感された方も多いと存じます。
さて、季節の巡りは早いもので、今季も多くの皆様に当社の紅葉をお楽しみ戴きました。朝の気温が十度を下回ると加速度的に色合いを増していく様は一層自然の不思議さを際立たせます。本年の色づきは例年通り非常に美しく、宮川沿いでは自然が描く極上の色彩
に目を奪われ立ち止まる方が多く見受けられました。
一方、ここ数年は全国的に大規模自然災害が多発しております。
当社におきましても十月に上陸した台風十八号による被害を受け、事待池周辺と宮川沿いを中心に倒木・架橋の倒壊・護岸壁の崩落等の被害がありました。自然が持つ厳しい面と穏やかな面は遙か昔から変わることなく今に至っておりますが、便利な世の中になり、減災技術は進む一方、日本とはどのような国土であるのか、私たちが住む土地はどのような土地であるのか、先人達はどのように自然に寄り添い、生活を営んできたのかという知識の継承が希薄化してき
ているのではないかと気がかりです。また、古い神社・仏閣に伝わる言い伝えの中にはその土地を象徴する物語がありますし、古い地名には土地を表わす文字が使われています。私たちが祖先から受けついできた多神教的・汎神論的な世界観や自然観を今一度見つめ直し、常に変化していく自然にこれからも絶えず適応できるよう、ハード・ソフトの両面においての備えが不可欠であると存じます。
いつも乍ら年末のこの時期は、迎春準備の追い込みとなります。氏子・崇敬者の各位におかれましては、ご自愛専一に良い未年をお
迎えくださいますようお祈り申し上げます。