玉垂45号
発行:平成27年12月20日
師走雑感
本年の御神域のもみじの紅葉は夏の長雨と晩秋の暖かな季候の影響を受け、師走に入り色づきが急激に進みました。毎年、十一月中旬から当社の紅葉を楽しみにご参拝の皆様が全国各地より訪れますが、例年とは違う自然の力を目の当たりにし、今年ならではの絶景ポイントを探し求める姿が多く見受けられました。神々が宿る自然が織りなす秋の色彩は、「まさに神のみぞ知る」でありますが、毎年、シーズンが近づくにつれ美しい紅葉を期待し願わずにはいられません。
さて、古来日本人は四季の変化を繊細に感じ取り、それに寄り添う生活の中で文化や伝統を育んできました。そして、一年の内に幾重もの節目を見いだし、様々な儀礼や祭事を執り行ってきました。
たとえば、新春の寒さの中で行う年頭の祭事は変わることなく続いております。当社におきましても、元旦からは歳旦祭、元始祭、追儺祭、田遊祭、手釿始祭、どんど焼祭、御弓始祭、そして節分祭と数々の祭りが行われます。これらは、一年を平穏無事に過ごせるよう、神々に「感謝」と「祈り」を捧げるお祭りです。私たちの祖先はこうした神事や祭礼を毎年同じ季節に繰り返し行う中で、自然と共存する生き方を学び、様々な「和合」の文化を育んできたのでしょう。
ところで、来年五月には日本が議長国となり伊勢志摩サミットの開催が決定しております。サミットの基本理念は「調和」や「協調」の精神と言われています。伊勢の地は、日本文化の原点である「感謝」と「祈り」の聖地です。各国の首脳が神宮の清々しさに触れ、世界の平和と繁栄のため、有意義な会議となるよう願っております。
師走と聞くと何かと慌ただしくなってまいります。当社の迎春準備は日々粛々と進めており、大晦日には師走の大祓式を斎行いたします。氏子崇敬者の皆様方には、呉々もご自愛の上、良い丙申年をお迎え下さいますようお祈り申し上げます。