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玉垂48号

発行:平成28年12月20日

年の瀬を迎えて

 季節の巡りは早いもので、今季も多くの皆様に当社の紅葉をお楽しみ戴きました。本年の色づきは非常に美しく、ご神域の至る所で感嘆の声が聞えて参りました。また、昨年十月に大沼建設株式会社様、有限会社一十園様のご奉納により宮川沿いに設置された石橋と自然が描く極上の色彩に染まったもみじとの共演に目を奪われ、立ち止まる方が多く見受けられました。毎年の事ながら、神々が運ぶ季節の移ろいが見せる自然の深遠さに心を打たれます。

 さて、本年八月八日午後三時、畏くも天皇陛下におかれましては、ビデオメッセージにて「象徴としてのお務めについて」の「お言葉」を国民に向けて直接述べられました。全身全霊をもって象徴のお務めを果してこられたお姿に多くの国民が感動し、信頼と敬愛の念を抱いたことと存じます。

 我が国は建国以来、天皇を中心として歴史を紡ぎ、伝統文化を築いてきました。そして、天皇は「祈りのご存在」としていつの時代も変わることなく神々へ感謝の誠を捧げ、国家、国民の安寧と幸福を願い続けておられます。この「祈り」の深くして重い本質は、毎年十一月二十三日に宮中の神嘉殿に於いて執り行われる新嘗祭に代表される「宮中祭祀」に高貴な精神が継承されています。改めて陛下のお言葉を拝しますと、「何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ました」と述べておられます。「伝統的な祭祀の祈り」を最も神聖な天皇のお務めとして何よりも優先しておられるご姿勢が明確に伺えます。

 一方、この度のお言葉を受け、すでに多くの有識者より様々な意見が交わされています。これらの議論の中心には、日本国の礎となる「精神文化」をどのように護り伝えてゆくかを熟慮し、皇統の尊厳護持と神聖性の保持、そして安定的な継承を十分に配慮したものでなければなりません。
 聖寿の万歳、皇室の弥栄を寿ぎ奉り、国の隆昌と世界の平和、そして氏子崇敬者各位のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。