玉垂51号
発行:平成二十九年十二月二十日
御神鏡
先ず以て、皇室の御事につきましては、去る六月十六日「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が公布され、十二月一日の皇室会議を受け、同月八日の閣議において、天皇陛下のご譲位のお日にちを平成三十一年四月三十日と定める政令を決定致しました。
今後、ご譲位に向けての諸準備が宮内庁を中心に執り進められて行くものと拝察致します。皇位継承に関わる全ての儀式が、皇室の長い伝統と皇位の尊厳を踏まえ、「国家の重儀」として執り行われることを切に望みます。
さて、本号の巻頭写真に掲載を致しました、ご本殿大床下に雲形の鏡台に奉安された清々しく輝く御神鏡がございます。この御神鏡は、本年十一月十八日に㈱久米吉 代表取締役倉島正三様、良枝様ご夫妻よりご奉納賜りました。同じ場所に奉安されていた御神鏡は、明治二十六年に当時の神職等により奉納されましたが、長年の風雨に曝され劣化が進んだ状態となっておりました。此の度の倉島様のご厚志により、実に一二三年ぶ
りに御神鏡が新調され、新たな年を迎えられることは誠に感慨深いものがあります。御神鏡の輝きとともに、大神様のご加護もより威を増し、広く行き渡ることと存じます。
ところで、来年は平成三十年、明治天皇の尊い思し召しにより、「五箇条の御誓文」が公布され一五〇年、『明治一五〇年』の佳節を迎えます。欧米列強の脅威に曝された幕末の日本は、「自主独立」、「自存自衛」の覚悟を以て近代国家への国作りをめざしました。特に憲法、国会、教育制度、個人の尊重など、一五〇年前に公布された「五箇条の御誓文」が原点といえるでしょう。結果、我が国はこの一五〇年の間に、国際社会の一員として外交力を強め、国内政治の発展、経済成長など、大国の道を歩んでまいりました。そして現在、我が国を取り巻く状況は内外ともに厳しさを増しています。排他的ともとれる各国の政治動向や北朝鮮による核ミサイル開発、覇権主義を纏った隣国の軍備拡大などの脅威は私たちの身近に迫っています。しかしながら、この間に、果たして日本は「自主独立」、「自存自衛」の国になったでしょうか。私たちは、「独立自
尊」の気概をもち続けていたでしょうか。激動と繁栄の明治の御代に思いを致し、来年の佳節を迎えたいと思います。
聖寿の万歳、皇室の弥栄を寿ぎ奉り、国の隆昌と世界の平和、そして氏子崇敬者各位のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
平成二十九年十二月十日