玉垂64号
発行:令和四年四月五日
国の行く末を思い
去る二月二十四日、世界中を震撼させる事態がおこりました。国際法を無視したロシアによるウクライナの侵略です。その後もプーチン大統領は、核兵器や生物・科学兵器をちらつかせ、世界の秩序を一変させました。この暴挙は絶対に許されるものではありません。
三月二十三日、ウクライナのゼレンスキー大統領が我が国に対し演説をおこなったことは記憶に新しいところです。
大統領は、演説の最後にこのように述べていました。「日本は発展の歴史が著しい。調和を生み出し、それを維持する力が素晴らしい。また環境を守り、文化を守ることも素晴らしい。ウクライナ人は日本の文化が大好きだ。言葉だけではなく大好きだ。」と称賛され、国際秩序における我が国のリーダーシップと支援に大きな期待を寄せました。
一方、新型コロナのパンデミックより二年が経過するなか、現代社会の弱さも浮き彫りになりました。いわゆる経済至上主義の流れの中、グローバリズムや技術革新による世界の成長が促される一方、社会の基本となる文化、教育、地域社会、医療、防災などは利益とあまり縁のない分野として軽視されがちでした。しかしながら、世界中の人々が、同時多発的な非常事態に遭遇し、公共的な社会基盤を支える道徳観、自然と調和していく自然観、人はいずれ死すべき存在であるという死生観、これらの精神的価値観を醸成することが心を保ち、秩序を保つということに気が付いたのではないでしょうか。これは、奇しくも大統領が讃え、私たちの祖先が大切に育んできた日本人らしい素直な心。すなわち、「大和心」に他なりません。混迷極める時代においてこの「豊かな心」が果たす役割はとても大きいように思います。
ところで、昨年の十二月下旬、森町議会では中国による「ウイグル等の人権侵害に対する調査及び抗議を求める意見書の提出について」が採択され、国へ提出されました。各地方自治体でも続々と採択が進むなか、本県におきましては森町が一番早く採択した地方自治体となりましたことは大変誇らしいことです。
現在、日本を取り巻く国際情勢は日に日に厳しさを増しています。我が国の隣国には、世界の平和を希求する時代に逆行した覇権主義的独裁国家が現存しています。
ウクライナ危機においても、武力行使、サイバー攻撃による通信・重要インフラの妨害、インターネットやメディアを通じた偽情報の流布などの工作を複合的に用いた「ハイブリッド戦」と言われる有事と平時の境を曖昧にした現状変更の手法が使われたことが確認されています。我が国における非常事態への法的整備も早急に進めるよう願ってやみません。
「しきしまの 大和心のををしさは ことある時ぞ あらはれにける」(明治天皇御製)
いよいよ四月はご例祭を迎えます。職員一同、神慮を畏み、国の安寧と世界の平和を祈り、社務に精進致したく存じます。各位のご壮健をお祈り申し上げます。
令和四年三月二十六日