玉垂58号
発行:令和二年三月二十七日
がんばろう日本
先ずもって、わが国を含め世界各地で中国武漢市発の新型コロナウィルスに感染された皆様又、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を捧げ、心よりお見舞いを申し上げます。
本年は、年明けより暖かな日が続き、桜前線が記録的な速さで進むとの予想もなされています。
古来より、我が国では春の花が散る頃、疫病を鎮めるために鎮花祭が執り行われてきました。
貞治三年(一三六四年)に成立した新拾遺和歌集に、当時の摂政や関白を務めた二条良基がこのような歌を詠まれています。
『のどかなる 春のまつりの花しずめ 風をさまれと 猶祈るらし』
(意訳:のどかな春日に、花鎮めの祭りが行われている。春風に乗ってきた疫病よ、どうか鎮まれと祈りを捧げているのだろう。)
先人たちはご神前に頭を垂れ、忘れがちな日常の平安への「感謝」と日々の「安寧」を祈りながら暮らしてきました。
この度、当社におきましては、新型コロナウィルス感染症の影響を鑑み、一日も早く事態が鎮静化するよう、毎朝の日供祭に併せ感染症流行鎮静祈願の祝詞を奏上しております。しかしながら、WHOは三月十一日に世界的大流行を表明するに至り、三月十八日には『新型コロナウィルス感染症流行鎮静祈願祭』を執行いたしました。
また、社頭におきましても、消毒液の設置、殿内・待合室の換気、職員へのマスク着用を奨励し、社務を執り行っております。私たちは、正しい情報を把握し不自由、不便を乗り越え、冷静に対応することで、一丸となって鎮静化に努めて参らねばなりません。
さて、本年は日本初の正史『日本書紀』上撰され一三〇〇年の佳節になります。本書は、天智天皇二年(六六三)に日本が百済救済のために戦った白村江の戦いで唐・新羅(大陸)の連合軍に破れたことを一つの契機として積極的に大陸の制度を導入、政治の刷新を進めつつ、敗戦を教訓に国防に力を入れ、独立国としての気概を保ちながら、自国の歴史を振り返り、天皇を国の中心に戴き発展してきた日本国家の「歴史」と「理想」を内外に示すものとして編纂されました。
一方、現在の日本を取り巻く国際情勢も厳しさを増しています。極端な保護主義や世界の平和を希求する時代に逆行した覇権主義が乱立しています。
非常事態は、天災にしろ、人災にしろ突然やって来ます。不満や批判だけでは解決しません、国民が協力して克服するしかないのです。場合によっては、私権が制約されることも覚悟せねばなりません。さらに、非常事態への法的整備も早急に進めるよう願ってやみません。
いよいよ四月はご例祭を迎えます。職員一同、神慮を畏み、国の安寧と世界の平和を祈り、社務に精進致したく存じます。各位のご壮健をお祈り申し上げます。
令和二年三月十九日