玉垂56号
発行:令和元年七月三十一日
御大礼の年にあたり
本年は光格天皇以来、実に二〇二年ぶりの「御譲位」により、皇太子殿下が践祚(即位)され、「令和」の大御代を迎えました。当社におきましても、「令和」最初の日となった五月一日に総代・責任役員・氏子崇敬者のご参列のもと践祚改元奉告祭を斎行し、謹んで大神様に一二六代天皇の御即位をご奉告申し上げ、聖寿の万歳と皇室の弥栄を寿ぎ奉り、国の隆昌と世界の平和をお祈り致しました。
この日の報道には、渋谷駅前のスクランブル交差点などで多くの若者が歓喜の声を上げる様子が映し出され、人々が前向きな言葉で新時代の到来と未来を語っていたことが大変印象に残っています。当社では、新しい大御代をお祝いしようと、さながらお正月のようにご参拝の皆さまが訪れ、社頭からは「令和、おめでとうございます。」との挨拶の声が聞こえてまいりました。普段あまり意識をしない元号が、実は国民を統合する大きな役割をはたしていたことが、改元によって明らかになりました。
一方で、生活の利便性の観点のみで西暦(キリスト教暦)への一本化を主張する人もおりますが、むしろ元号と西暦を併用することができる日本人の民度の高さに自信を持ち、文化の一つとして大切にしたいと思います。私たち国民は、この元号に込められた「理想」や「願い」を忘れることなく、その実現を目指しながら新時代を築いてゆかなければなりません。
当社では、この佳節を記念し、御本殿以下社殿群のお屋根の葺き替え事業「天皇陛下御即位記念 令和のお屋根替え」〜次世代へつなぐ祈り・技・美〜を四年の歳月を費やし実施してまいります。本事業の趣意と詳細につきましては、本号に掲載させていただきました。何卒、ご理解ご奉賛を賜りますよう重ねてお願いを申し上げます。
いよいよ、今秋には、「即位礼正殿の儀」と「大嘗祭」が古式に則り厳かに執り行われます。五月一日より始まった皇位継承に係る諸儀式は、その悠久の歴史に裏付けされた国家的重儀であるとともに、神代より歴代の天皇と国民によって受け継がれてきた「日本のこころ」の原点とも言えます。この記念すべき年に際会するにあたり、天皇陛下を中心に戴く日本の国柄に思いを致しつつ、世界に類例のない我が国の誇るべき文化を、私たち一人ひとりが自身の言葉で語ることができるようになることが肝要であると存じます。
氏子崇敬者各位のご壮健をお祈り申し上げます。
令和元年七月十七日