玉垂53号
発行:平成三十年六月二十五日
平成の大御代を寿ぎて
六月に入り、親しみ深い「平成」の元号を使うこともあと一年を切ることとなりました。
来年四月末には天皇陛下がご譲位され、翌五月一日には、皇太子殿下が即位されることが定められています。また本年、平成の御代は三十年目の佳節を迎え、来年、二月二十四日には政府主催の「天皇陛下御在位三十年記念式典」が行われることも発表されました。国民こぞっての奉祝の誠を捧げたく存じます。
これまでの平成の御代を思う時、スポーツ界ではオリンピックなどでの活躍や、多くの科学者がノーベル賞を受賞し、多くの日本人が世界で活躍しました。経済においてはバブル崩壊やリーマンショックなどの混乱を経て、順調に回復へと向っています。
一方で、深く心に刻まれているのは、先の東日本大震災など多発した自然災害ではないでしょうか。
そのような困難な状況においても、天皇陛下は、いち早く被災地にお出ましになられ被災者に寄り添い、すべての人々に心を寄せ続けてこられました。また、内外の激戦地へ赴き戦歿者に慰霊の祈りを捧げておられます。このような尊いお姿を拝し、私たちは勇気づけられ、また諸外国の人々にも深い感動を与えられました。
さらに、数々の宮中祭祀(きゅうちゅう さい し)の御奉仕者として国民の安寧と平和を祈る重き務めを「全身全霊」で果されてきた陛下を仰ぎ、このような大御心が皇祖より途切れることなく受け継がれてきたことに感謝と敬仰の念を抱くばかりです。
我が国は、一三〇〇年以上も前から「元号」という時間感覚を持ち続け、天皇を中心とする伝統と誇るべき文化を育んできました。私たちは、時代区分や国の重大事件はもちろんのこと、個人の生活や人生も「元号」によってイメージすることが多々あります。例えば、「明治維新の立役者」とか、「昭和の重大ニュース」と言った使い方や、「昭和生まれ」という言葉も使います。最近では、「平成生まれ」という言葉も頻繁に使われ始めています。これは、私たちが天皇陛下の御在位と結びついた他国にはない独自の時間軸を持っていることに他なりません。このような麗しい日本文化でもある「元号」について利便性や興味本位の議論は慎むべきです。元号は皇位の継承があった時に限り改めるものです。
聖寿の万歳と皇室の弥栄を寿ぎ奉り、国の隆昌と世界の平和、そして氏子崇敬者のご健勝ご多幸をお祈り申し上げます。
平成三十年六月十五日